「せっかくエコキュートにしたのに、シャワーの水圧が弱くてイライラする」 「冬場、お湯の勢いがなくて寒い」 「加圧ポンプを後付けして、ガス給湯器のような水圧に戻したい」
エコキュートを利用している方の中で、このような悩みを抱えている方は非常に多いです。ネットで検索すると「加圧ポンプ」という選択肢が出てきますが、自己判断での設置は非常に危険であり、最悪の場合、エコキュート本体が破裂する恐れがあります。
この記事では、住宅設備のプロの視点から「なぜエコキュートに加圧ポンプを設置してはいけないのか」という理由と、「ポンプを使わずにシャワーの水圧を劇的に改善する具体的な方法」を徹底解説します。
5分ほどで読める内容ですが、読み終える頃には、あなたの家のシャワー環境を改善する最適な答えが見つかるはずです。
結論:エコキュートへの加圧ポンプ後付けは基本的に「不可」
まず結論から申し上げます。一般的なエコキュートの給湯配管(お湯が出る側)に、市販の加圧ポンプを後付けすることは、ほぼ全てのメーカーで禁止されています。
「検索したら加圧ポンプが出てきたから付けられるのでは?」と思うかもしれませんが、それは「給水(水)」用のポンプであったり、特定の条件下でのみ使用できる特殊な製品であることがほとんどです。

なぜ、安易に設置してはいけないのか。その理由は大きく3つあります。
【理由1】タンクの変形・破損・水漏れのリスク
エコキュートの貯湯タンクは、一定の圧力(減圧弁で調整された圧力)に耐えられるように設計されています。ここに出湯側から無理やりお湯を吸い出すような強力なポンプ(加圧給湯ポンプなど)を設置すると、タンク内に「負圧(引っ張られる力)」がかかったり、想定以上の圧力変動が起きたりします。

- ステンレス・缶体の変形: タンクが内側に凹むように変形する可能性があります。
- 溶接部のクラック: 圧力変動により金属疲労が起き、水漏れが発生します。
【理由2】メーカー保証が即座に無効になる
エコキュートの取扱説明書や工事説明書には、必ず「給湯側への加圧ポンプ設置禁止」の旨が記載されています。これを無視して改造を行った場合、たとえ購入から1年以内であってもメーカー保証は一切受けられなくなります。
修理費用は全額自己負担となり、タンク交換となれば数十万円の出費になります。「水圧を上げるために数万円のポンプを買ったのに、結果として数十万円の損をした」というケースも実際に発生しています。

【理由3】温度制御の不具合
エコキュートは、タンク内の熱湯と水道水を混合弁で混ぜて設定温度にします。加圧ポンプによって流量バランスが崩れると「設定温度よりぬるい」「急に熱くなる」といった温度制御の不具合(ハンチング現象)が起こりやすくなります。

【例外】給水側(元圧)を加圧する場合
一部の専門業者が行う方法として、エコキュートに入る前の「水道管そのもの(給水側)」に受水槽や増圧ポンプを設置する方法があります。しかし、これはエコキュートの「最高使用圧力」を超えない範囲で行う必要があり、大掛かりな工事と専門知識が必要です。DIYや安易な後付けで対応できるレベルではありません。
なぜエコキュートのシャワーは水圧が弱いのか?
対策を知る前に、敵を知る必要があります。なぜガス給湯器に比べてエコキュートは水圧が弱いのでしょうか。
水道の圧力を「減圧」しているから
水道水の圧力は一般的に約500kPa程度ありますが、標準的なエコキュートは、タンクを守るために「減圧弁」という部品で約170kPa〜190kPaまで圧力を落としています。
- ガス給湯器(直圧式): 水道圧(500kPa)をそのままお湯に変える=強い
- 標準エコキュート(貯湯式): タンク保護のため減圧(170kPa)する=弱い
つまり、構造上、どうしても水圧は3分の1程度になってしまうのです。この「170kPa」という数字は、シャワーを浴びるには「ギリギリ使えるが、物足りない」と感じる人が多いラインです。

階上(2階・3階)での使用による圧力損失
水は高いところに上げるほど圧力が下がります。1階にタンクがあり、2階や3階でシャワーを使う場合、重力の影響でさらに水圧が落ちます。標準タイプのエコキュートで3階への給湯は、ほぼシャワーとして機能しないレベルになることもあります。

【0円〜数千円】ポンプなしで水圧を上げる5つの解決策
「じゃあ、エコキュートを買い換えるしかないの?」と諦めるのはまだ早いです。高額な工事をしなくても、運用の工夫や小さな部品交換で水圧(体感圧力)を劇的に改善できる可能性があります。効果が高い順に紹介します。
【解決策1】「低水圧用シャワーヘッド」に交換する(効果:大)
これが最も手軽で効果的な方法です。数千円で解決します。 通常のシャワーヘッドは穴の数が多く、穴のサイズも大きいため、水圧が低いとチョロチョロとしか出ません。
「低水圧用」または「節水・増圧」と書かれたシャワーヘッドは、散水板の穴を小さくし、数を減らすことで、出口の流速を高めています。ホースの先を指で潰すと水が遠くまで飛ぶのと同じ原理です。
選び方のポイント:
- 「低水圧対応」と明記されているものを選ぶ: 単なる「節水」だと、逆に水量が減って寒く感じることがあります。
- 穴が細かく、集中的に出るタイプ: 肌当たりが強くなり、勢いを感じやすくなります。
【解決策2】給湯温度を高く設定する(効果:中)
これは意外と知られていない裏技です。 エコキュートのリモコン設定温度を、普段使う温度(40℃など)よりも高く(50℃〜60℃)設定し、サーモスタット水栓(蛇口)側で水を混ぜて適温にする方法です。

理由: エコキュートのお湯(170kPa)に、勢いのある水道水(500kPa)を多く混ぜることで、シャワーから出るトータルの水圧を底上げできます。
- 通常(設定40℃): ほぼタンクのお湯のみ(圧が弱い)
- 裏技(設定60℃): タンクのお湯+強い水道水(圧が強くなる)
注意点:
- お子様や高齢者がいる家庭では、火傷に十分注意してください。
- 必ず、水を出しながら温度を調整してください。
【解決策3】エコキュートのストレーナー(フィルター)を掃除する(効果:中〜大)
「昔はもう少し強かったのに、最近弱くなった」という場合は、これが原因の可能性大です。 エコキュートのタンク接続部には、ゴミが入るのを防ぐ「ストレーナー」というフィルターが付いています。ここに配管のサビやゴミが詰まると、当然お湯の出が悪くなります。
掃除の手順:
- 給水配管の止水栓を閉める。
- 「逃し弁」のレバーを上げて圧を抜く。
- 給水側のストレーナーを外してブラシで洗う(取扱説明書のお手入れページ参照)。
- 元に戻す。

半年に1回掃除するだけでも、水圧が復活することがあります。
【解決策4】蛇口(水栓)の止水栓・フィルターを確認する
浴室の蛇口そのものにも、流量を調節する「止水栓」やフィルターが付いています。
- 止水栓が全開になっているかマイナスドライバーで確認する。
- 水栓側のフィルター(ストレーナー)が詰まっていないか掃除する。

【解決策5】配管の太さや種類を見直す(リフォーム時など)
もし、給湯配管に細い管(13Aなど)が長く使われている場合、配管抵抗で圧力が落ちています。リフォームの機会があれば、太い管(16Aや20A)に変更することで、圧力損失を減らすことができます。

どうしても「強い水圧」が必要な場合の選択肢
上記の対策を試しても満足できない、どうしてもホテルやスポーツジムのような「痛いほどの水圧」が欲しい。その場合は、機器の入れ替えを検討する必要があります。
【選択肢1】「高圧タイプ(パワフル高圧)」のエコキュートに買い替える
現在販売されているエコキュートには、標準タイプ(170kPa)とは別に「高圧タイプ(約300kPa前後)」がラインナップされています。
メーカーによって呼び名は異なりますが、以下のようなモデルです。
- 日立: 「水道直圧給湯」(ナイアガラ出湯) ※これが最強です
- パナソニック: 「ウルトラ高圧」(325kPa)、「パワフル高圧」(280kPa)
- ダイキン: 「パワフル高圧」(320kPa)
- 三菱電機: 「ハイパワー給湯」(290kPa)

特に日立の「水道直圧給湯」は、独自の仕組みでお湯を沸かすため、水道圧(500kPa)に近い圧力をそのまま利用できます。 ガス給湯器と同等、あるいはそれ以上の水圧で、2階・3階でもシャワーが勢いよく使えます。
買い替えのタイミング(設置から10年〜15年)であれば、迷わずこのタイプを選んでください。価格差は数万円ですが、毎日の快適度が段違いです。
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【選択肢2】エコキュート専用の「加圧ポンプユニット」を検討する(条件厳格)
ごく稀にですが、メーカー純正、あるいは信頼できるポンプメーカー(テラルや川本ポンプなど)から、エコキュート対応の給湯加圧ポンプユニットが販売されているケースがあります。
ただし、これらは以下の条件が必要です。
- 耐熱仕様であること: 高温に耐えられるポンプである必要があります。
- 流量センサー連動: お湯を使った時だけ動く制御が必要です。
- タンクへの配慮: タンクを負圧にしないための逃し弁や、給気弁の設置など、高度な施工が必要です。


※重要: これらは「DIYで後付け」できるものではなく、プロの設備屋さんが設計から関わるレベルの話です。既存の標準タンクに無理やりつけるのはやはり推奨されません。
誤った対策による失敗事例(口コミから)
ここで、ネット上で見かける失敗事例を共有します。同じ轍を踏まないようにしてください。



事例Aさん:ネットで買った安価なポンプをDIY設置 海外製の安価な循環ポンプをシャワーホースの間に設置。 結果: お湯を出すたびにポンプの音がうるさく、お湯の温度が安定しなくなった。数ヶ月後にポンプから水漏れし、感電の恐れがあったため撤去。



事例Bさん:加圧給湯ポンプをタンク出口に設置 業者に頼まず自分で配管を改造してポンプを設置。 結果: シャワー圧は上がったが、半年後にエコキュートのタンクから漏水。メーカーに見てもらったら「改造されているため保証外」と言われ、本体ごと買い替え(約40万円)になった。
まとめ:あなたの悩みへの「次の一手」
この記事のまとめです。
- 加圧ポンプの後付けは絶対NG: タンク破損のリスクが高く、メーカー保証もなくなります。
- まずはシャワーヘッド交換: 「低水圧用シャワーヘッド」への交換が最もコスパが良い解決策です。
- 温度設定の工夫: 給湯設定温度を60℃にして、手元で水を混ぜると水圧が上がります。
- メンテナンス: タンクや蛇口のストレーナー(フィルター)掃除を忘れないでください。
- 根本解決は買い替え: 次回購入時は、日立の「水道直圧給湯」や各社の「高圧タイプ」を選びましょう。
今すぐできるアクション
まずはAmazonやホームセンターで「低水圧用シャワーヘッド(増圧シャワーヘッド)」をチェックしてみてください。2,000円〜5,000円程度の商品で、今の悩みの8割は解消されるはずです。
もし、エコキュートが設置から10年以上経過しているなら、故障する前に「高圧タイプのエコキュート」への見積もりを取り始めても良い時期かもしれません。毎日の入浴タイムが、我慢の時間から癒やしの時間へと変わりますよ。



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本記事の情報は一般的な住宅設備知識に基づきますが、お客様の個別の設置環境や機器の品番によって状況は異なります。配管の変更や機器の設置については、必ず専門の水道業者やメーカーに相談の上、安全に行ってください。







