「リフォームの見積もりをとったら、ハウステックの『マルーレ』と『クルート』を提案された」 「価格が安い『クルート』で十分?それとも『マルーレ』にした方が後悔しない?」
ハウステック(Housetec)のシステムキッチンは、大手メーカー(LIXILやパナソニックなど)に比べて「圧倒的なコストパフォーマンス」と「リフォーム対応力の高さ」で知られており、プロの業者からも非常に人気があります。
中でも主力となるのが、中級グレードの「マルーレ」と、普及価格帯(エントリーモデル)の「クルート」です。
一見すると似ているこの2つのキッチンですが、詳しく比較すると「収納力」「選べるデザインの幅」「シンクや天板の質」に決定的な違いがあります。ここを理解せずに「安いから」とクルートを選んでしまうと、後で「収納が足りない」「安っぽく見える」と後悔することになりかねません。
この記事では、住宅設備のプロ目線でハウステックの「マルーレ」と「クルート」の違いを徹底的に比較解説します。これを読めば、あなたのライフスタイルに最適な一台が必ず見つかります。
1. ハウステック「マルーレ」と「クルート」の決定的な立ち位置の違い
まずは、ハウステックのキッチンラインナップにおける両者の立ち位置(グレード)を整理しましょう。

「マルーレ」は“いいとこどり”の万能選手

マルーレは、ハウステックの上位機種(カナリエ)のノウハウを受け継ぎつつ、価格を抑えたスタンダードモデルです。「長く使う自宅のキッチン」として必要な機能(引き出しの静音性、掃除のしやすさ、収納量)が標準またはオプションでしっかりと網羅されています。
「クルート」は“コスパ特化”のシンプル選手

クルートは、機能を必要最低限に絞ることでコストを限界まで下げたモデルです。アパートやマンションの賃貸用として採用されることも多いですが、その耐久性や基本性能は確かです。「料理はあまりしない」「とにかく安く綺麗にしたい」というニーズに応えます。
2. 【比較表】一目でわかる!マルーレとクルートのスペック違い
細かい解説に入る前に、主な違いを比較表で確認しましょう。

※仕様は変更される場合があるため、必ず最新カタログをご確認ください。
3. 違い①:最大の差は「収納力」と「引き出しの質」
マルーレとクルートで迷った際、最も重視すべき判断基準は「収納」です。ここが毎日の使い勝手に直結します。
マルーレの収納:デッドスペースゼロの「足元収納」
マルーレのスライド収納(引き出しタイプ)は、床ギリギリの足元部分(ケコミ部分)まで引き出しになっています。 これを「フロアストッカー」や「足元収納」と呼びます。ここには、たまにしか使わない土鍋やカセットコンロ、ストック品の缶詰などを大量に収納できます。
マルーレの強み: 足元までガッツリ収納できるので、吊戸棚がなくても食器や調理器具が収まることが多い。
クルートの収納:足元は収納ではない(ケコミ)
一方、クルートの標準的な仕様では、一番下の足元部分は収納ではなく、単なる「台輪(だいわ)」と呼ばれるパネル(蓋)になっていることが多いです。 (※プランによっては収納にできる場合もありますが、マルーレほど容量は確保できません)
クルートの注意点: マルーレに比べて収納量が2〜3割減るイメージです。物が少ない人なら問題ありませんが、ファミリー世帯だと「入りきらない」という事態になりかねません。
「ソフトクローズ」の有無

- マルーレ: 引き出しを勢いよく閉めても、最後はスッと減速して静かに閉まる「ソフトクローズ機能」が標準装備(または基本プランに含まれる)であることが多いです。
- クルート: 基本はソフトクローズなしです。閉めるときに「ガチャン!」と音がしたり、中の食器がぶつかったりします。オプションで付けられる場合もありますが、割高になる傾向があります。
4. 違い②:選べる「デザイン」と「質感」の格差
キッチンはLDKの顔です。見た目の高級感にも違いが出ます。
扉カラーの選択肢
マルーレ: トレンドのくすみカラー、リアルな木目調、高級感のある鏡面仕上げなど、数十種類のバリエーションから選べます。取っ手も「ライン取っ手」「ハンドル取っ手」などから選べ、インテリアに合わせやすいです。

クルート: 人気のあるベーシックな色(白、クリエカラーのような木目など)に絞られています。「これだ!」という色があれば良いですが、こだわりのあるインテリアには合わせにくい場合があります。

ワークトップ(天板)の質感
マルーレでは、人工大理石の中でも意匠性の高い(石の粒子感があるような)素材を選べますが、クルートの人造大理石は比較的シンプルな単色系が中心です。 リビングからキッチンが丸見えになる対面キッチンの場合、マルーレの方が「家具のような美しさ」を演出しやすいでしょう。
マルーレのワークトップ
クルートのワークトップ
5. 違い③:シンクと清掃性(掃除のしやすさ)
水回りの掃除のしやすさは、長年の満足度を左右します。
「超はじくリンシンク」が選べるか
ハウステックの代名詞とも言える高機能シンクが、特殊コーティングを施した人造大理石シンク「超はじくリンシンク」です。油汚れや水を弾き、汚れがつきにくい素晴らしい機能ですが、これは基本的に上位グレード向けのオプションです。
- マルーレ: 選択可能です。掃除を楽にしたいならマルーレ一択です。
- クルート: 基本的には選べない、または選択肢が限られます。通常のステンレスシンクや標準的な人造大理石シンクになります。
6. 共通のメリット:ハウステック最強の武器「1cm刻み対応」
ここで、両者に共通する「ハウステックを選ぶべき最大の理由」をお伝えします。 それが「ぴったりサイズ(簡易オーダー対応)」です。
通常、システムキッチンは「255cm」「240cm」といった規格サイズしかありません。もし家のキッチンスペースが「252cm」だった場合、他社メーカーでは240cmのキッチンを入れて、残りの12cmを板(フィラー)で埋めることになります。これは収納スペースの無駄です。
しかし、ハウステックは「マルーレ」も「クルート」も、1cm刻みで幅を調整できます。 252cmのスペースなら、252cmいっぱいのキッチンを作ってくれます。

7. 価格差はどれくらい?実勢価格のイメージ
気になるお値段ですが、リフォーム総額(商品代+工事費)で見たとき、どれくらいの差が出るのでしょうか。

- マルーレ: リフォーム総額目安 80万〜120万円
- クルート: リフォーム総額目安 60万〜90万円
ざっくりとですが、15万円〜30万円ほどの差が出ることが多いです。 この差額をどう捉えるかが判断の分かれ目です。
「毎日使う引き出しの快適さ(ソフトクローズ)」「収納量」「掃除のしやすさ」にプラス20万円払って15年〜20年快適に過ごすか、そこを削って他のリフォーム(お風呂やトイレ)に予算を回すか、という選択になります。
8. 【結論】あなたにおすすめなのはどっち?
これまでの比較を踏まえて、それぞれおすすめな人をまとめます。
「マルーレ」を選ぶべき人

- 自宅(持ち家)のリフォームをする人 今後10年、20年と住み続けるなら、耐久性と使い勝手に優れたマルーレが間違いなくおすすめです。
- 料理を頻繁にする人 収納力と動線、掃除のしやすさが段違いです。
- キッチンに物が溢れている人 足元収納があるマルーレなら、ホットプレートやストック品もスッキリ収まります。
- LDKのインテリアにこだわりたい人 安っぽくない質感を選べます。
「クルート」を選ぶべき人

- コストを最優先にしたい人 「とにかく予算がない、でもキッチンは新品にしたい」という場合に最強の味方です。
- 賃貸物件のオーナー(大家さん) 入居者募集のためにキレイなシステムキッチンを入れたい場合、クルートのコスパは抜群です。
- 料理はあまりしない・物を持たない人 コンビニ食や外食が中心で、キッチンは簡単な調理と洗い物ができれば十分という方。
- セカンドハウス・別荘 使用頻度が低い場所に高機能なキッチンは不要です。
9. 失敗しないキッチンリフォームのコツ:必ず「相見積もり」を
ハウステックの「マルーレ」と「クルート」の違いについて解説しました。

- マルーレ: 収納・機能・デザイン充実の「失敗しないスタンダード」
- クルート: 必要十分な機能に絞った「高コスパモデル」
どちらを選ぶにしても、必ず複数のリフォーム会社から見積もり(相見積もり)を取ることをおすすめします。
なぜなら、ハウステックのキッチンは「工務店ごとの仕入れ値(割引率)」が大きく異なるメーカーだからです。 A社ではマルーレが80万円だったのに、B社では同じ仕様で70万円だった、ということがリフォーム業界では日常茶飯事です。
また、「クルートで見積もりを取っていたけど、B社のキャンペーンでマルーレが同じくらいの金額で入った」というケースも珍しくありません。

まずは地元の優良業者3〜4社に相談し、「マルーレとクルート、両方のパターンで見積もりが欲しい」と伝えてみましょう。プロの意見と実際の価格差を見ることで、あなたにとってベストな選択ができるはずです。
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