注文住宅や大規模リフォームの打ち合わせ中、誰もが一度は憧れるタカラスタンダードの最上位モデル「レミュー(Lemure)」。 しかし、見積書に最初に入っている標準仕様は、多くの場合「オフェリア(Ofelia)」です。
カタログを見比べると、レミューの重厚感や機能美に惹かれる一方で、 「オフェリアも十分おしゃれじゃない?」 「価格差が100万円近くあるけれど、本当にそれだけの価値があるの?」 と、頭を抱えてしまう方は少なくありません。
結論から言うと、この2つは「構造(耐久性)」と「世界観(デザインの質感)」が全く異なる別次元のキッチンです。
この記事では、住宅設備のプロが「オフェリアとレミューの決定的な6つの違い」を徹底解説します。後悔しないために、価格差の正体と、あなたがどちらを選ぶべきかの判断基準をお伝えします。
1. 【比較表】オフェリア vs レミュー スペック完全比較
まずは、両者の基本的なスペックと立ち位置の違いを比較表で整理しましょう。

表を見るとわかるように、オフェリアは「コストとデザインのバランスが良い優等生」、レミューは「タカラの技術と美意識を全部乗せした王様」という位置づけです。
2. 違い①:キャビネットの素材(寿命の差)
最大の違いは、キッチンの骨組みである「キャビネット(箱)」の素材です。
オフェリアは「木製」キャビネット
オフェリアは、一般的なキッチン(LIXILやパナソニックの普及帯など)と同様、木製キャビネットで作られています。 もちろん、底板にはホーローが敷かれているため日常の掃除は楽ですが、湿気がこもりやすいシンク下や、配管まわりの構造体は木です。20年〜30年経過すると、湿気によるたわみやカビのリスクがゼロではありません。
レミューは「まるごとホーロー」キャビネット
レミューは、見えない裏側の骨組みまで全て高品位ホーロー(鉄+ガラス)です。
- 腐らない・カビない・ニオイがつかない
- 湿気や水漏れに最強に強い
- マグネットが収納内部のどこでも付く
「一生モノのキッチン」と言われる所以はここにあります。建物が寿命を迎えるまで、キッチン自体は新品同様の強度を保てると言っても過言ではありません。
3. 違い②:デザインの質感(プリント vs 本物)
「見た目」の違いも重要です。最近のオフェリアは非常におしゃれですが、レミューと並べると「素材感」の違いが際立ちます。
オフェリア:トレンドに強い「メラミン化粧板」
オフェリアの扉は、アイカ工業製の高圧メラミン化粧板が中心です。 本物の木や石をプリントで再現しており、非常にリアルで「今っぽい」デザイン(くすみカラー、マットな木目など)が得意です。インテリアに馴染ませやすく、カジュアルでモダンな空間に合います。
レミュー:深みのある「インクジェット印刷ホーロー」

レミューの扉は、鉄板にガラス質を焼き付けたホーローです。 さらに最新技術により、ホーローの上にインクジェット印刷を施すことで、
- 陶器のような深みのある光沢
- 触れるとひんやり感じる重厚感
- 焼き物特有の高級感のある色ムラ
これらを表現しています。特に「灰緑(はいりょく)」や「白磁(はくじ)」といった和モダンなカラーや、高級石材を再現した柄は、プリントシートでは絶対に出せない「本物の質感」を放ちます。
4. 違い③:ワークトップ(天板)の選択肢
キッチンの顔となる天板。ここで「高級感」に大きな差が出ます。
レミューは「クォーツストーン」が代名詞
レミューを選ぶ人の多くが採用するのが「クォーツストーン(天然水晶)」の天板です。 天然石の美しさと、樹脂の強さを兼ね備えた最高級素材で、その輝きは圧倒的です。レミューの世界観はこの天板があってこそ完成します。
オフェリアでもクォーツストーンは選べる(が…)

実は、オフェリアでもオプションでクォーツストーン(アイカ製フィオレストーン等)を選ぶことができます。 「オフェリアの木製本体」+「高級天板」という組み合わせは、コストを抑えつつ見た目を豪華にする裏技的な人気プランです。 ただし、選べる石種のバリエーションはレミューの方が圧倒的に多く、天板の厚みや端部の加工(仕上げ)において、レミューの方がより高級感のある仕様になっています。
5. 違い④:収納力と使い勝手(シンク・引き出し)
毎日の家事効率に直結する機能面の違いです。
レミューだけの特権「家事らくシンク」

「洗う・切る・捨てる」がシンク内で完結する3層構造の「家事らくシンク」。 調理スペースが汚れず、パスタの湯切りも衛生的。この機能を使いたいがためにレミューを選ぶ人も多いですが、残念ながらオフェリアでは選択できません(※一部特注を除く基本仕様として)。
魔法の収納「フロントポケット・内引出し」
- レミュー: シンク前の包丁差し部分がパカッと開く「フロントポケット」や、引き出しの中に隠し引き出しがある「内引出し」が標準装備。デッドスペースを極限まで活用し、収納力はオフェリアの約1.3〜1.5倍とも言われます。
- オフェリア: シンプルな2段引き出しが基本。オプションで内引出しを追加することも可能ですが、レミューほどの細やかな収納ギミックはありません。
6. 違い⑤:海外製食洗機(ミーレ・ボッシュ)への対応
ここが悩ましいポイントです。「ミーレを入れたい」という理由でオフェリアを選ぶ人もいます。
オフェリア:現場加工で柔軟に対応

オフェリアは木製キャビネットなので、大工さんや施工業者が現場で加工しやすく、45cm幅・60cm幅問わず、海外製食洗機を組み込みやすいという特徴があります。 「予算を抑えてミーレを入れたい」ならオフェリアが最強の選択肢です。
レミュー:公式対応プランが登場したが高額
以前はホーロー加工が難しく「レミューにミーレは入れられない」と言われていましたが、現在は公式に海外製食洗機対応プランが用意されています。 ただし、専用のキャビネットが必要になるため、価格はかなり高額になります。「お金をかけてもいいから、最高級キッチンに最高級食洗機を入れたい」という方向けです。

7. 価格差のリアル:実際いくら違うのか?
定価ベースではなく、実際に家を建てる際に出てくる「追加費用」のイメージです。
オフェリアは「標準仕様」の恩恵が大きい
ハウスメーカーの標準仕様がオフェリアの場合、そこからの値引き率は非常に大きいです。 例えば、標準仕様のままなら追加0円。オプションを100万円分追加しても、実際の請求額は+50〜60万円程度で済むこともあります。
レミューへの変更は「定価の差」以上に開く
一方、標準外であるレミューに変更すると、
- 本体価格自体の差: 定価で50万〜100万円高い
- 値引き率(掛率)の悪化: ビルダー向け割引が効かず、掛率が高くなる
このダブルパンチにより、見積もりを見ると「プラス100万円〜200万円」という衝撃的な数字が出てくることも珍しくありません。 「車がもう一台買える」レベルの差額になることを覚悟する必要があります。

8. 【結論】あなたはどっち?後悔しない選び方
ここまでの比較を踏まえて、どちらを選ぶべきかまとめました。
「レミュー」を選ぶべき人
- 予算に余裕がある: キッチンは家の顔。ここには最大級の投資をしたい。
- 耐久性至上主義: 30年以上リフォームしたくない。見えない裏側まで清潔なホーローじゃないと嫌だ。
- 家事効率を極めたい: 「家事らくシンク」や、計算し尽くされた収納機能が絶対に欲しい。
- 本物志向: プリントの木目では満足できない。陶器や天然石の質感を毎日眺めたい。
「オフェリア」を選ぶべき人
- 賢くコストダウンしたい: 浮いた100万円で、家具や照明、床材をグレードアップしたい。
- デザインの自由度が欲しい: インスタで見かけた「あの色」にしたい(アイカ工業の面材を使いたい)。
- 海外製食洗機がマスト: ミーレやボッシュをなるべく安く導入したい。
- 「木製」で十分と考える: 今まで木製キッチンを使ってきて不満がなかった。20年後にリフォームすれば良いと割り切れる。
【プロのおすすめ】オフェリアの「プチ・レミュー化」
もし予算で迷っているなら、以下のプランを検討してみてください。
「オフェリア本体 + 天板だけクォーツストーンに変更」
これなら、レミューのような高級感ある見た目を手に入れつつ、価格はレミューにするより遥かに抑えられます。 耐久性は木製(オフェリア)ですが、天板の強さと美しさは最高級。非常に満足度の高い、賢い選択肢です。

まとめ:ショールームでの確認ポイント
オフェリアとレミュー、写真で見ると似ていても、実物は「軽自動車」と「高級セダン」くらいの違いがあります。 必ずショールームで以下の点を確認してください。

- 引き出しの開閉音と重み: レミューの重厚感と、オフェリアの軽やかさ。
- 天板の質感: クォーツストーンの輝きを照明の下で見る。
- 扉の触り心地: ホーローのひんやり感と、メラミンのさらっと感。
「やっぱりレミューの重厚感が忘れられない!」となるか、「オフェリアでも十分素敵だし、差額で海外旅行に行こう!」となるか。 実物に触れることで、あなたの価値観に合った答えが必ず見つかります。
安くキッチンをリフォームするなら相見積もりが必須
リフォーム業者ごとにキッチンの販売価格が異なるため、より安くキッチンを交換したい場合は相見積もりが必要です。3社ほどに見積もりを依頼して、比較検討しましょう。

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