「新居のデザインにこだわったから、生活感のある洗濯パンはなくしたい」 「海外のランドリールームのように、洗濯機を直置きしてスッキリ見せたい」
注文住宅やリノベーション、あるいはミニマリスト志向の方の間で、「洗濯機の直置き」を検討する方が増えています。しかし、検索窓に「洗濯パンなし」と打ち込むと、サジェストに表示されるのは「後悔」「カビ」「水漏れ」といった不穏なワードばかり。

「本当に洗濯機を直置きしても大丈夫なの?」 「もし水漏れしたら、修繕費用はどうなるの?」
そんな不安を抱えているあなたへ。 この記事では、住宅設備のプロ目線で「洗濯機直置きのメリット・デメリット」を徹底解説します。さらに、直置きのリスクを回避しつつ、洗濯パンなしのスタイリッシュさを実現する「第三の選択肢」まで完全網羅します。
これを読めば、あなたのライフスタイルに最適な「洗濯機の設置方法」が必ず見つかります。
そもそも「洗濯機の直置き」は大丈夫なのか?
クロノ結論から申し上げますと「洗濯機の直置き自体は可能ですが、日本の住宅事情(特に木造や複合フローリング)ではリスクが高く、積極的にはおすすめしません」というのが正直なところです。
しかし、「絶対にNG」ではありません。海外では直置きが主流ですし、条件と対策さえ整えば、洗濯パンなしでも快適に暮らすことは可能です。
まずは、なぜ日本でこれほどまでに「洗濯パン(防水パン)」が普及しているのか、その背景を知ることから始めましょう。
日本と海外の「床」事情の違い
海外ドラマやSNSで見かけるおしゃれなランドリールーム。多くの場合、洗濯機は床に直置きされています。これが可能なのは、海外の多くの住宅(特に水回り)が「土足文化」であり、床がタイルや石材、コンクリートでできているからです。多少水がこぼれても拭けば済みますし、床材が腐る心配も少ないのです。


一方、日本の住宅は「木材」と「クッションフロア・フローリング」が主流。木は湿気に弱く、一度水を吸うと腐食やカビの原因になります。日本の高温多湿な気候も相まって「床を水から守る」ために洗濯パンが必須とされてきた歴史があります。
現代の洗濯機は水漏れしない?
「最近の洗濯機は性能が良いから、水漏れなんてしないでしょ?」と思っている方も多いでしょう。 確かに、洗濯機本体の初期不良による水漏れは激減しました。しかし、水漏れの原因の多くは「人為的ミス」や「経年劣化」です。


これらは、最新のドラム式洗濯機であっても起こり得ます。この「万が一」が起きたとき、直置きだと床へダイレクトにダメージがいってしまうのです。
「洗濯パンなし」を選んで後悔する5つのリスク
安易に見た目だけで「洗濯パンなし」を選ぶと、数年後に大きな後悔をすることになりかねません。ここでは、実際に直置きをして後悔した事例をもとに、具体的なリスクを5つ挙げます。
1. 水漏れ時の被害が甚大(階下への漏水)
これが最大のリスクです。洗濯パンがあれば、少量の水漏れならパンの中に溜まるため、床への被害を防げます。また、水が溢れる前に気づくことができます。
しかし、直置きの場合は水がすぐに床材へ染み込みます。


- 戸建ての場合: 床下の断熱材や土台(木材)が腐食し、シロアリの原因になることも。
- マンションの場合: ここが最も恐ろしい点です。 床を突き抜けた水が階下の住居へ漏水し、天井や家財を汚損させる可能性があります。損害賠償請求に発展するケースも少なくありません。
注意: マンションの管理規約で「洗濯パンの設置必須」となっている場合が多いのは、この階下漏水リスクを避けるためです。
2. 床の「へこみ」と「傷」
最新のドラム式洗濯機は、乾燥機能付きだと80kgを超えるものも珍しくありません。これに水と洗濯物の重さが加わると、100kg近い重量になります。
この重量を4本の脚だけで支えるため、直置きするとフローリングに深いへこみ(圧痕)が残ります。 賃貸物件の場合、退去時に高額な原状回復費用を請求される原因の筆頭です。


3. 結露による床のカビ・腐食
水漏れしていなくても、床が腐ることがあります。それが「結露」です。 夏場、冷たい水道水を使って洗濯をすると、洗濯機の底面や排水ホースに結露が発生します。
洗濯パンがあれば空気の通り道がありますが、直置き(特に底面が低い機種)の場合、床と洗濯機の間湿気がこもり、気づかないうちに床がカビだらけになっていることがあります。


4. 振動音が床に響く(騒音トラブル)
洗濯パンは、洗濯機の振動を吸収する役割も果たしています。 直置きの場合、脱水時の激しい振動が床材にダイレクトに伝わります。
特に木造住宅の2階以上に設置する場合、家中に「ドンドンドン」という重低音が響き渡り、家族のストレスや近隣トラブルの原因になります。


5. 排水口のメンテナンスが絶望的に難しい
実は、これが「日々の生活」で最も後悔するポイントです。 洗濯パンがない=排水口が洗濯機の真下(または真横)の床に直接ついている状態です。
洗濯機を直置きしてしまうと、重い本体を動かさない限り、排水口の掃除ができません。 糸くずや髪の毛で排水トラップが詰まったとき、業者を呼んで洗濯機を持ち上げてもらう必要が出てきます。


それでも人気!「洗濯パンなし」にするメリット
ここまでリスクばかりをお伝えしましたが、それでも「洗濯パンなし」を選ぶ人が増えているのには、明確なメリットがあるからです。
1. 圧倒的なデザイン性・スッキリ感
最大のメリットはこれに尽きます。白くてプラスチック感の強い洗濯パンがなくなるだけで、洗面所や脱衣所がホテルのような洗練された空間に変わります。
特に、床材にこだわった注文住宅では、床の連続性が保たれるため部屋が広く見えます。


2. 掃除のしやすさ(条件付き)
「洗濯パンの四隅の埃が取れない!」というストレスから解放されます。 クイックルワイパーやロボット掃除機が洗濯機の下に入り込めるスペースさえ確保できれば、パンの段差がない分、床掃除は非常に楽になります。
(※ただし、完全に直置きして隙間がない場合は、逆に掃除が不可能になるので注意が必要です)


3. サイズ制限からの解放
洗濯パンには「640mm×640mm」などの規格サイズがあります。大型のドラム式洗濯機に買い替えたいのに、パンのサイズが合わなくて断念…というケースはよくあります。
パンがなければ、スペースさえ許せばどんなサイズの洗濯機でも設置可能です。


【結論】直置きでも後悔しない!最強の折衷案「かさ上げ台」
ここからが本記事の核心です。 「洗濯パンのダサさは嫌だ」でも「水漏れや掃除のリスクも嫌だ」。 この両方の願いを叶える「第三の選択肢」が存在します。
それが「かさ上げ台(洗濯機置き台)」の使用です。
現在、リフォームや新築の現場では、昔ながらのプラスチックパンの代わりに、この「かさ上げ台」を採用するケースが爆発的に増えています。
かさ上げ台(ふんばるマンなど)とは?
洗濯機の4つの脚の下に敷く、高さのあるブロックのような製品です。 有名な商品に『ふんばるマン(因幡電工)』などがあります。
かさ上げ台を使うメリット
- 掃除が簡単: 洗濯機の下に10cm程度の隙間ができるため、クイックルワイパーやハンディモップ、ルンバなどが入り込み、奥まで掃除ができます。
- 排水口点検が可能: 隙間から手が入るため、洗濯機を動かさずに排水トラップの掃除ができます。
- 通気性の確保: 床と洗濯機の間に空気が流れるため、結露やカビの発生を抑制できます。
- 振動・騒音の軽減: 防振ゴムがついている製品を選べば、直置きよりも静音性が高まります。
- 見た目がスマート: 洗濯パンのような圧迫感がなく、直置きに近いスッキリした見た目を維持できます。
キャスター付き台 vs 固定式かさ上げ台
かさ上げ台には「キャスター付き(移動可能)」と「固定式(ブロック)」の2種類があります。
| 種類 | メリット | デメリット・注意点 | おすすめ度 |
| 固定式かさ上げ台 (ふんばるマン等) | 安定性が高い。 振動が少ない。 安価(数千円)。 見た目がミニマル。 | 一度設置すると移動は大変。 水漏れ受け皿はない。 | ★★★★★ (基本はコレ) |
| キャスター付き台 | 洗濯機を動かして掃除できる。 裏に物を落としても拾える。 | 脱水時の振動で動くことがある。 耐久性に不安がある製品も。 見た目がゴツくなる。 | ★★★☆☆ (頻繁に動かしたい人向け) |



プロの推奨: ドラム式洗濯機を使用する場合は、重量と振動が大きいため「固定式のかさ上げ台(防振タイプ)」を強くおすすめします。キャスター付きは、縦型洗濯機や頻繁に裏側を掃除したい場合に検討しましょう。
これで安心!「洗濯パンなし」にするための必須対策5選
「洗濯パンなし(かさ上げ台使用含む)」を選択する場合、リスクを最小限にするために必ずやっておくべき対策があります。これから工事をする方、すでに直置きを決めた方はチェックリストとして活用してください。
① 高感度の「漏水センサー」を設置する
パンがない以上、水漏れは早期発見が命です。 Amazonなどで数千円で購入できる「漏水センサー(水漏れ報知器)」を洗濯機の下や排水口付近に設置しましょう。
水濡れを感知すると大音量のアラームやスマホ通知で知らせてくれます。これがあるだけで、被害を最小限に食い止められます。
② 床材を「水に強い素材」にする
洗面所の床材選びも重要です。
- クッションフロア (CF): 最も一般的。水に強く、安価。
- フロアタイル: 塩ビ素材でデザイン性が高く、硬くて丈夫。水にも強い。おすすめ。
- 無垢フローリング: 避けるべきです。 水染みができやすく、カビやすいです。どうしても木にしたい場合は、ウレタン塗装など強力な撥水加工が必要です。
③ 「透明保護マット」を敷く
かさ上げ台を使う場合でも、その下には透明なポリカーボネート製の「冷蔵庫・洗濯機用マット」を敷くことをおすすめします。
これにより、長期間の重みによる床のへこみを100%防ぐことができ、万が一の微量な水漏れや結露からも床を守れます。透明なのでインテリアも邪魔しません。
④ 排水トラップの仕様を確認する
新築やリフォームの場合、施工業者に「洗濯パンなしにする」と伝えると「床上排水」か「床下排水」かの確認が入ります。 メンテナンス性を考えると、洗濯機の真下ではなく、少し横にずらした位置に排水口を設けるか、メンテナンスしやすいタイプの排水トラップを選定してもらうよう依頼しましょう。
⑤ 緊急止水弁付きの蛇口(水栓)にする
給水ホースが外れた瞬間に、自動で水を止めてくれる「緊急止水弁(ストッパー)」がついた蛇口を選びましょう。 地震でホースが外れた際の、水浸し地獄を防ぐ必須アイテムです。最新の住宅では標準装備が多いですが、古い物件の場合は交換(数千円〜)を推奨します。
ケース別:あなたは洗濯パンなしにするべき?
最後に、状況別のおすすめ度をまとめました。
賃貸アパート・マンションの場合
おすすめ度:★☆☆☆☆(やめておくべき) 基本的に原状回復義務があり、備え付けの洗濯パンを勝手に撤去するのはNGです。もしパンがない物件の場合でも、万が一の階下漏水リスク(賠償責任)を考えると、自分で後付けの洗濯パンやトレイを設置した方が無難です。「かさ上げ台」だけでは、漏水を防げないからです。
分譲マンション(持ち家)の場合
おすすめ度:★★☆☆☆(規約と相談) 管理規約で防水パンの設置が義務付けられているか確認してください。漏水事故はマンション全体のトラブルになるため、慎重な判断が必要です。「どうしても」という場合は、リフォーム時に床の防水加工を強化し、損害保険の内容も見直しましょう。
戸建て(持ち家・注文住宅)の場合
おすすめ度:★★★★☆(対策すればOK) 自己責任の範囲で自由に選べます。 ただし、2階に設置する場合は、1階への漏水リスクを考慮して洗濯パンの設置を推奨します。 1階設置で、かつ「かさ上げ台」+「保護マット」+「こまめなメンテナンス」ができるなら、洗濯パンなしのスタイリッシュな空間を実現しても問題ありません。
まとめ:正解は「直置き」ではなく「スマートな底上げ」
「洗濯機 直置き 大丈夫」と検索したあなたが求めていた答えは、単に床に置くことではなく「生活感を消しつつ、安心して使える設置方法」だったはずです。
今回の記事のポイント:


- 何も対策しない完全な「直置き」は、水漏れ・カビ・へこみのリスクが高く「後悔」する可能性大。
- 洗濯パンの役割は「水漏れガード」と「結露・振動対策」。
- 現代の最適解は、洗濯パンではなく「かさ上げ台(ふんばるマン等)」+「保護マット」の組み合わせ。
- これで掃除もしやすく、通気性も確保でき、見た目もスッキリする。
洗濯機周りは、一度設置すると10年は動かさない場所です。 「見た目」と「リスク管理」のバランスをうまく取り、後悔のないランドリールーム作りを実現してください。
次のアクション:あなたのお家に合うのはどれ?
- 今すぐできる対策を知りたい方: Amazon等で「ふんばるマン」「洗濯機用透明マット」を検索し、サイズを確認してみましょう。
- リフォーム・新築計画中の方: 施工会社や設計士に「洗濯パンは付けずに、かさ上げ台で対応したい。排水口の位置はメンテナンスしやすい場所にできますか?」と相談してみましょう。
これだけで、将来の「しまった!」を回避できます。あなたの洗濯機周りが、清潔で美しい空間になりますように。



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