「キッチンのリフォームで迷っています。TOTOのミッテと、クリナップのステディア、どちらが良いでしょうか?」
これは、リフォームの現場で非常に多く聞かれる質問です。 しかし、プロから見るとこの2つは「全く異なる土俵の戦い」です。

- TOTO「ミッテ (mitte)」:水まわりの使い勝手を極めた、コスパ最強のスタンダードモデル。
- クリナップ「ステディア (STEDIA)」:見えない骨組みまでステンレスで武装した、耐久性重視のミドルハイクラス。
正直に申し上げますと、グレード(格)としてはステディアの方が上です。しかし、「ミッテを選んで浮いた予算で、オプションを充実させる」という賢い選択をする人も増えています。
この記事では、カタログスペックだけでは分からない「決定的な違い」「清掃性の差」「価格に見合う価値」を徹底比較。あなたが「高くてもステディアにすべきか」、それとも「ミッテで賢く満足するか」、その答えを提示します。
結論:ミッテとステディア、あなたに向いているのはこっち!
まずは結論から。あなたの性格や重視するポイントで、どちらを選ぶべきかは明確に分かれます。
クリナップ「ステディア」を選ぶべき人

- 「20年、30年と長く綺麗に使いたい」人(ステンレスキャビネットの耐久性は最強)
- ゴキブリやカビ、ニオイにとにかく敏感な人
- 料理の頻度が高く、プロっぽい厨房に憧れる人
- 予算に少し余裕があり、将来のリフォーム回数を減らしたい人
TOTO「ミッテ」を選ぶべき人

- 「今の出し入れ価格」を抑えたい人(コスパはミッテの圧勝)
- 水栓(蛇口)の性能や、水切れの良さを重視する人
- 「除菌水」で手軽にキレイを保ちたい人
- 浮いた差額で、食洗機のグレードアップやカップボード(棚)を充実させたい人
1. 【スペック比較表】グレードの違いを理解しよう
まずは基本性能と立ち位置の違いを整理します。

2. 【核心】最大の違いは「骨組み」の素材
この2つを比較する際、最も重要なのが「キャビネット(骨組み)」の素材です。ここが価格差の理由であり、ステディアを選ぶ最大の理由です。
ステディア:「ステンレスキャビネット」の圧倒的安心感
一般的なキッチンは「木製」ですが、ステディアは骨組みまで「ステンレス」で作られています(※クリナップのお家芸です)。
- カビない・腐らない: 湿気がこもりやすいシンク下でも、ステンレスなら腐食しません。
- ニオイがつかない: 醤油や油をこぼしても、染み込まないので拭けば終わりです。
- 害虫が来ない: ゴキブリなどの害虫は、湿気やニオイを好みます。ステンレスはその侵入要因をシャットアウトするため、虫が寄り付きにくい環境を作ります。
クロノ【プロの視点】 「30年後に解体したとき、木製キッチンはボロボロになっていることが多いですが、クリナップのステンレスキッチンは新品のようにピカピカなことが多い」というのは業界の定説です。耐久性を買うなら、間違いなくステディアです。
ミッテ:必要十分な「木製キャビネット」
ミッテは一般的な木製キャビネットです。


- 「木製だからダメ」ということは決してありません。最近の木製キャビネットはコーティング技術が進化しており、通常使用で20年は十分に持ちます。
- ただし、配管からの水漏れ事故などが起きた際、木製はどうしてもダメージを受けやすいというリスクはあります。
3. 【水まわり対決】使い勝手はTOTOミッテが優勢か?
「耐久性」ではステディアですが、毎日の「使いやすさ(機能性)」ではTOTOミッテが猛追します。
TOTOミッテ:「水ほうき水栓」と「すべり台シンク」


- 水ほうき水栓: 幅広のシャワーで、お皿洗いのスピードが格段に上がります。水ハネも少なく、何より「エアインシャワー」の節水効果が高いです。
- すべり台シンク: 排水口に向かって傾斜が付いており、ゴミが勝手に流れていきます。また、排水口が「隅」にあるため、シンク内を広々と使えます。
クリナップステディア:「流レールシンク」
- 流レールシンク: 料理中に使う水流を利用して、手前のレールにゴミを集め、排水口へ流す仕組みです。「ゴミを水で押し流す」という作業を減らしてくれます。
- ただ、シンク自体の「水切れの良さ」や「シャワーの気持ちよさ」という感覚的な部分では、TOTOの水まわり技術に軍配を上げるユーザーが多いです。
4. 【衛生機能対決】「攻めのTOTO」vs「守りのクリナップ」
キレイを保つアプローチが真逆です。
TOTOミッテ:菌を「除菌」する


TOTOの独自技術「きれい除菌水」(オプション)が強みです。
- 使用後に「きれい除菌水」をシンクの網かごや、まな板、包丁に吹きかけることで、菌の繁殖を抑えます。
- ヌメリやピンク汚れの発生を「積極的」に抑え込む機能です。
クリナップステディア:汚れを「寄せ付けない」
ステディアは素材とコーティングで勝負します。
- 美コートワークトップ: 親水性のセラミック系コーティングにより、油汚れの下に水が入り込み、汚れを浮かせます。
- ステンレスの抗菌性: 素材そのものが清潔であるため、菌が根付きにくい環境を作ります。



【比較ポイント】 スイッチ一つで除菌したいハイテク好きならミッテ、素材の力で汚れを防ぎたい本物志向ならステディアがおすすめです!
5. 【デザインと収納】価格差が見える部分
リビングから見えるキッチンとしての「美しさ」には差が出ます。
ステディア:家具のような高級感


ステディアは、扉のカラーバリエーションや取っ手のデザインが非常に豊富です。
- デザイン性: 「クラス4」「クラス5」などの上位扉を選ぶと、アンティーク調や木目調の深みが素晴らしく、まさに家具です。
- 収納: 引き出しの底板もステンレス(標準またはオプション)。「ツールポケット」により、包丁やラップが少し開けるだけで取り出せます。
ミッテ:シンプルで馴染みやすい


ミッテはシンプルで清潔感のあるデザインが得意ですが、高級感や重厚感を出そうとすると選択肢が限られます。
- 収納: 「センターラインキャビネット」は収納力抜群ですが、引き出しのレールや閉まる時の重厚感(ソフトクローズの質感)は、やはり上位機種であるステディアの方がしっかりした作りを感じます。
6. 【価格のリアル】実質いくら違うのか?
ここが一番の悩みどころでしょう。 定価設定も異なりますが、リフォーム店での「値引き率(掛率)」も異なります。
- TOTO ミッテ: 値引き率が良い傾向にあります。オプションをある程度つけても、工事費込みで80万円〜120万円(I型2550mm想定)で収まるケースが多いです。
- クリナップ ステディア: ミッテに比べると、最終見積もりで10万円〜20万円ほど高くなることが多いです。ボリュームゾーンは100万円〜150万円です。


「この20万円の差額をどう考えるか」が勝負です。 20万円あれば、以下のようなことができます。
- 食洗機を「深型バイオパワー除菌」などの最上位モデルにする。
- IHクッキングヒーターを3口IHにする。
- 背面のカップボード(食器棚)をセットで購入する。
「躯体の耐久性(ステディア)」に20万円払うか、「設備の充実(ミッテ)」に20万円回すか。これが判断の分かれ目です。
7. ユーザーの口コミ・評判
実際に導入したオーナーの声を紹介します。
ステディアを選んだ人の声



「以前のキッチンでG(ゴキブリ)に悩まされたので、迷わずステンレスキャビネットのステディアにしました。安心感が違いますし、引き出しを開けた時の金属の清潔な輝きが大好きです。」(40代 女性)



「デザインが豊富で、リビングの雰囲気にぴったりのヴィンテージ調の扉が見つかりました。友達が来ると必ず褒められます。」(30代 女性)
ミッテを選んだ人の声



「予算オーバーだったのでステディアを諦めてミッテにしましたが、結果的に大満足。水ほうき水栓が本当に使いやすくて、お皿洗いのストレスが減りました。」(30代 男性)



「浮いたお金でミーレの食洗機(※施工店の独自対応)を入れる資金に回しました。キャビネットは木製でも、20年経てばどうせリフォームするし、割り切って正解でした。」(40代 女性)
8. よくある質問(FAQ)
- ステディアは「もらい錆」が出ると聞きましたが?
-
昔に比べれば減りましたが、注意は必要です。 ステンレスは錆びにくい金属ですが、空き缶やヘアピンなどを長時間放置すると、そこから錆が移る「もらい錆」が発生します。ただ、最近のクリナップのステンレスは質が良く、通常の手入れをしていれば過度な心配は不要です。
- ミッテでも「ステンレスカウンター」は選べますか?
-
選べます。 TOTOといえば人工大理石のイメージが強いですが、ステンレス天板もラインナップされています。ミッテでステンレス天板を選び、プロっぽい雰囲気に仕上げることも可能です。
- 海外製食洗機(ミーレ・ボッシュ)を入れたいのですが。
-
どちらもメーカー公式対応はしていませんが… ステディアの方が、キッチン専門業者の間では加工して入れやすい機種として知られています。ミッテも施工店によっては対応可能ですが、難易度は少し上がります。絶対に海外製食洗機を入れたい場合は、事前に施工店へ相談が必須です。
まとめ:ショールームでのチェックポイント
最後に、後悔しないためにショールームで必ず確認すべきポイントをお伝えします。


- 引き出しを開けて、中を覗き込む
- ステディアのステンレスキャビネットの輝きを見て「これだ!」と思うか、ミッテの木製を見て「これで十分」と思うか。直感が大事です。
- シンクの前に立って「エア手洗い」をする
- 水栓の位置、シンクの広さ。毎日立つ場所なので、身長に合っているか確認してください。
- 見積もりは「同条件」で比較しない
- ミッテは「理想のオプションを全部盛り」にして、ステディアは「少し我慢した仕様」で見積もってみてください。それでも価格差がある場合、その差額を払ってでもステンレスが欲しいか、自問自答してください。
「一生モノの頑丈さ」ならステディア。 「日々の使い勝手とコスパ」ならミッテ。
どちらを選んでも、各メーカーを代表する素晴らしいキッチンです。 あなたのリフォームが最高のものになることを応援しています!
(※本記事は2025年時点の情報を基に作成しています。仕様変更や価格改定の可能性がありますので、最新情報は各メーカー公式サイトをご確認ください。)


安くキッチンをリフォームするなら相見積もりが必須
リフォーム業者ごとにキッチンの販売価格が異なるため、より安くキッチンを交換したい場合は相見積もりが必要です。3社ほどに見積もりを依頼して、比較検討しましょう。





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