「せっかくの分譲マンションなのに、シャワーの勢いが弱くてイライラする……」 「キッチンと浴室を同時に使うと、お湯がチョロチョロしか出ない」
毎日使う水回りだからこそ、水圧の低さは大きなストレスですよね。実は、マンションの水圧が弱い原因は一つではなく、「自分で直せるもの」から「機器の交換が必要なもの」まで様々です。
この記事では、分譲マンションの水圧を上げるための具体的な方法を、手軽に試せる順にご紹介します。
まずは確認!お金をかけずに水圧が上がるかもしれない2つのチェックポイント
業者を呼んだり新しい機器を買ったりする前に、まずは以下の2点を確認してください。これだけで解決するケースも意外と多いのです。
1. 止水栓(しすいせん)が絞られていないか確認する
最も多いのが、「止水栓」が全開になっていないケースです。止水栓とは、水漏れなどの緊急時に水を止めるための元栓のことです。

- メーターボックス内の元栓: 玄関横のパイプスペース内にあります。これが少し閉まっていると、家全体の水圧が弱くなります。
- 各設備の止水栓: 洗面台の下やトイレのタンク横、キッチンのシンク下にあります。マイナスドライバーやハンドルで左(反時計回り)に回し、全開になっているか確認しましょう。
注意: 古い建物の場合、無理に回すとパッキンが破損して水漏れすることがあります。固い場合は無理をせず専門業者に相談してください。
2. 蛇口のフィルター(整流網)を掃除する
蛇口の吐水口(水が出る先端部分)には、ゴミを受け止めるフィルターが付いています。ここに水道管のサビや砂利が詰まると、水圧が著しく低下します。
キャップを回して取り外し、古歯ブラシなどで網目を掃除してみてください。これだけで水の勢いが復活することがあります。

【低コスト】数千円でできる水圧改善対策
止水栓やフィルターに問題がない場合、次に試すべきは「シャワーヘッド」の交換です。
低水圧用シャワーヘッドに交換する
特にシャワーの水圧だけが気になる場合、これが最も手軽で効果的な解決策です。
「低水圧用」または「増圧」と書かれたシャワーヘッドは、水が出る穴を小さくしたり数を減らしたりすることで、同じ水量でも勢いよく水が出るように設計されています。

- メリット: 数千円で購入でき、工事不要で自分で取り付け可能。節水効果も期待できる。
- デメリット: お湯の当たる範囲が狭くなることがある。
失敗しない!低水圧用シャワーヘッドの選び方3つの基準
「低水圧用」と書かれていればどれでも良いわけではありません。間違ったものを選ぶと、「水圧は上がったけど、肌に刺さるように痛い」「範囲が狭すぎて寒く感じる」といった失敗につながります。
パッケージや公式サイトで、必ず以下の3点をチェックしてください。
1. 穴の大きさは「0.3mm」がベスト
シャワーヘッドの水が出る穴(散水板の穴)の直径を確認しましょう。 一般的なシャワーは0.5mm〜0.8mm程度ですが、低水圧用は穴を小さくすることで水の勢いを強めます。
- 0.3mm: 最もおすすめ。水圧アップと肌当たりの優しさのバランスが絶妙です。
- 0.3mm未満: 勢いは凄いが、ミストのようになり冬場は水温が下がりやすい。
- 0.5mm以上: 水圧アップ効果があまり感じられない可能性がある。

2. 穴の「数」と「配置」を見る
穴の数が少なすぎると、水圧は上がっても「お湯の束」がスカスカになり、洗い流すのに時間がかかってしまいます。
- 穴の数: 極端に少ないものは避ける。多すぎても水圧が分散するため、バランス型を選ぶ。
- 配置: 穴が中央に集中しているタイプは、強い打たせ湯のような刺激が得られ、水圧不足を感じにくい傾向にあります。逆に、ヘッドが巨大で穴が広がっているタイプは水圧が弱まりがちです。
3. 「手元ストップボタン」付きを選ぶ
手元で出し止めできるスイッチが付いているタイプは、内部構造で一度水流を絞っているため、結果的に増圧効果が高い製品が多いです。こまめに止めることで、ガス代・水道代の節約にもなり一石二鳥です。
購入前の注意点: TOTO、INAX(LIXIL)以外のメーカー(KVK、MYMなど)を使用している場合、そのままでは取り付けられないことがあります。必ず「変換アダプター」が付属している商品を選んでください。
おすすめの低水圧用シャワーヘッドを紹介するセクションを作成しました。
前回の記事の「低水圧用シャワーヘッドの選び方」の下に続けて貼り付けると、読者がそのまま商品選びに移れる自然な流れになります。
【口コミで厳選】水圧不足を解消する「間違いなし」の3選
数ある商品の中から、先ほどの「選び方(0.3mm穴・手元スイッチ・中心配置)」をすべて満たし、かつ「実際に水圧が上がった」という口コミが多い定番モデルを3つ厳選しました。
1. コスパ最強の定番|タカギ「キモチイイシャワピタ」
「迷ったらコレ」と言えるほど、圧倒的な実績を持つベストセラー商品です。
- 特徴: 0.3mmの極細穴が高密度に配置されており、水圧は強いのに肌当たりが柔らかいのが特徴。「痛いのは嫌だけど、勢いは欲しい」という方に最適です。
- おすすめポイント: 工具不要で取り付けやすく、2年間の保証が付いている安心感も魅力。
- 実勢価格: 2,000円〜3,000円前後
- ¥
2. 強い刺激が欲しいなら|SANEI「レイニーストップ」
グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュな見た目と、鋭い水流が人気のモデルです。
- 特徴: 独自の設計で穴を中央に集中させているため、水の束が太く、しっかりと洗い流せる感覚があります。頭皮までズドンと届くような強さを求める方におすすめです。
- おすすめポイント: 手元のストップボタンの操作性が良く、こまめな節水が苦になりません。
- 実勢価格: 3,000円〜4,000円前後
3. 高級感と機能性で選ぶ|アラミック「シルキンシャワー・プレミアム」
ステンレスコーティングされた高級感ある見た目で、浴室の雰囲気を壊しません。
- 特徴: 手元のレバーで水圧を「ハード」と「ソフト」に切り替えられるのが最大の特徴。洗髪時はハードで強力に、洗顔時はソフトで優しく、といった使い分けが可能です。
- おすすめポイント: 最大70%という高い節水効果があり、ガス代・水道代の元が取りやすい商品です。
- 実勢価格: 5,000円〜6,000円前後
【根本解決】給湯器や配管を見直す(要・管理組合確認)
分譲マンションならではの選択肢として、設備自体の見直しがあります。ただし、これらは専有部分のリフォームとなるため、費用がかかります。
1. 給湯器の「号数」を上げる
「号数」とは、給湯器の能力を表す単位です。「水なら勢いよく出るのに、お湯にすると弱くなる」という場合は、給湯器の能力不足が考えられます。
| 号数 | 適した世帯・状況 |
| 16号 | 単身世帯向け。 冬場にシャワーとキッチンを同時に使うと水圧が下がる。 |
| 20号 | 2人家族向け。 同時に使っても極端に弱くならない。 |
| 24号 | 4人以上の家族向け。 冬場でも複数箇所で快適にお湯が使える。 |
16号や20号を使用している場合、24号への交換を検討しましょう。ただし、マンション全体のガスの供給能力や規約により、サイズアップができない場合があります。必ず管理会社やガス会社に事前確認が必要です。
2. 給水管・給湯管の引き直し(リノベーション)
築年数が古い(築30年以上など)マンションの場合、水道管の中にサビコブ(錆の塊)が発生し、配管の内径が狭くなっている可能性があります。
この場合、専有部分の配管を新しいもの(サビない架橋ポリエチレン管など)に交換するリフォームを行うことで、水圧と水質が劇的に改善することがあります。
どうしても水圧が上がらないケースとは?
残念ながら、個人の努力では改善が難しいケースも存在します。
- 高置水槽方式の最上階付近: 屋上のタンクから重力で水を落とす方式の場合、タンクとの高低差が少ない最上階付近はどうしても水圧が弱くなります。
- 共用部分の配管径が細い: 大元の配管が細い場合、どれだけ専有部分を直しても限界があります。
このような構造的な問題の場合、マンション全体のポンプ交換などを管理組合で話し合う必要があります。
まとめ:まずは「止水栓」、ダメなら「シャワーヘッド」から
分譲マンションの水圧問題は、いきなり高額なリフォームを考える必要はありません。まずは原因を切り分け、以下のステップで賢く対策していきましょう。
まずは止水栓が全開か確認し、蛇口のフィルターを掃除します。これで直ればラッキーです!
改善しなければ、今回ご紹介した「タカギ」や「SANEI」などの低水圧用シャワーヘッドへ交換してみてください。費用対効果が最も高く、すぐに効果を実感できる最良の手段です。
それでも水圧が弱い、またはお湯だけ極端に弱い場合は、給湯器の号数アップや配管リノベーションを管理組合や業者に相談しましょう。
クロノ毎日浴びるシャワーの快適さは、生活の質(QOL)に直結します。 まずは今日からできる「止水栓の確認」から始めて、勢いのある快適なバスタイムを取り戻しましょう!





